世の中では様々な場面で借金をすることがあります。例えば、家を購入する時の住宅ローン、学生であれば学生ローン、ちょっとお金が必要なときのカードローンなど、借金の種類や手軽さは進化してきています。また、便利に使えるクレジットカードでの買い物は、代金の支払いを業者に立て替えてもらい後から返済するという仕組みですので、借金と似たような構図になります。

 

債務整理とは

借金は、もともとは返すつもりでしますが、様々な事情により返済が難しくなることもあるでしょう。かつては、過酷な取立てを受け、生活自体が窮地に追い込まれることもありました。その結果、夜逃げ、身売り、自殺などの悲惨な事態になることが社会問題となった時代もあります。そのような問題から債務者を保護し、借金を整理し、債務者の生活の立直しを応援する仕組みが債務整理です。

 

どんな場合に債務整理を利用できるの？

債務整理は、端的にいえば借金を減らしたり無くしたりすることができる仕組みです。そのため、いまの借金を問題なく返済できる余力がある人は、当然のことながら利用できません。債務整理は、期限が迫った借金を返済する資金がなく、今後もその状態が改善される見込みがないような場合になって利用することができます。

 

債務整理はどんな種類があるの？

一言で債務整理と言っても、いくつかの方法があります。ここでは、代表的な債務整理の方法を簡潔にご紹介します。いずれの方法であっても、法制度や実務運用の正しい知識や経験がなければ難しいため、大半のケースで、代理人を立てるか専門家に相談しながら行われています。

 

任意整理

任意整理は、裁判所を利用せずに、借金をしている相手（業者）と任意の交渉で無理のない返済計画に組み直す仕組みです。基本的には、利息をカットして、現実的な分割返済計画の合意を得るための交渉をしていくものです。

破産

破産は、裁判所を利用する手続です。通常は、破産手続と免責手続とがセットで利用されます。まず、破産手続として最低限の生活費以外の資産を処分し払える分だけの借金を払い、つづいて、免責手続として残った借金を無しにするための裁判所の審査を受けるという流れになります。ただし、ギャンブルや過度の浪費で借金が膨らんだ場合や資産を隠しているなど事情がある場合は、免責を受けられないこともあります。

個人再生（小規模個人再生手続、給与所得者等再生手続）

個人再生は、裁判所の監督の下、借金を圧縮して分割返済計画を立てる手続です。破産と違って借金は一部残りますが、財産の処分は必須ではなく、また、住宅ローンを利用している自宅不動産を残すことができる場合があります。ただし、借金総額の上限があり、どんな状況でも利用できるという訳ではありません。

 

債務整理のメリットとデメリットは？

債務整理のメリットは、率直に、借金を減らしたり無くしたりできることです。反対にデメリットも考えておく必要があります。債務整理を始めると、信用情報データベースにその事実が登録されるため、今後の借入れやクレジットカードの利用などが一定期間制限されます。また、一部の職業では、破産開始による資格停止等の制限があります。免責を得られれば、復権によって制限は解除されます。